同時に商標登録の申請があった場合は「クジ引き」で決める

前回、選挙で得票数が同じになった場合は『クジ引き』で決めるという記事を書きました。すると生徒からこんな質問がありました。

選挙で得票数が同じになった場合にどうやって当選者を決めるか?そもそも同じ得票数なんて確率的にあり得るのか?中学公民の授業の一部を紹介します。

生徒
他にもクジ引きで決めていることってあるんですか?

たぬぬ
そうですね…商標登録でもクジ引きの制度はありますよ。

生徒
商標…登録?

商標登録とは

商標登録の話をする前に、そもそも『商標』って何かを理解しないといけませんね。

そもそも「商標」って何?

その商品や会社のブランドの目印となるもの。商品を買う側の需要者が、その商品であることを認知するための『文字・図形・記号・立体的形状・色彩・音』などの『標章(記号)』のことです。
その文字や記号を見ることで、商品がわかると言ってもいいかもしれませんね。

商標登録とは

この『商標』を他人や他社に使われないよう、『特許庁』に申請して、使用する権利を保護してもらうことです。すると、第三者に無断で使用されたとしても、第三者が商標登録されてると『知らなかった』場合でも使用の差し止めが出来てしまいます。

同時に商標が申請されたら?

厳密に言うと、『同日』『同一又は類似』の商標を2人以上の出願人が出した時のことです。この場合、『商標法』により、『協議』の結果として『くじ引き』が実施さることがあります。

商標法第8条を確認

商標法第8条
(先願)
第八条 同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があつたときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。
2 同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について同日に二以上の商標登録出願があつたときは、商標登録出願人の協議により定めた一の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。
3 商標登録出願が放棄され取り下げられ若しくは却下されたとき、又は商標登録出願について査定若しくは審決が確定したときは、その商標登録出願は、前二項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。
4 特許庁長官は、第二項の場合は、相当の期間を指定して、同項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を商標登録出願人に命じなければならない。
5 第二項の協議が成立せず、又は前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、特許庁長官が行う公正な方法によるくじにより定めた一の商標登録出願人のみが商標登録を受けることができる。

生徒
1項は『異なった日』とるから、『早い者勝ち』ですよ、ってことだよね。

たぬぬ
OKです。2項は、『まずは話し合いで決めてください』ってことですね。
3項は、話し合いで取り下げた方の人は、『最初から申請してなかった』事にしますよ、という意味です。

生徒
話し合いで何とかなるもんなんでしょうか?
それで、4項は『話し合いの結果を報告』してねってことかな。

たぬぬ
いいですね。そして5項。ここに、話し合いで決まらなかったら『くじ引き』するよと書かれています。

確率的にあり得るの?

生徒
類似って似ているってことだよね。それでもあり得るの?

たぬぬ
確かに10年に1回あれば、とは言われていました。

生徒
少なっ!

とある物に対しての同日申請は『偶然』の域を超えませんが、何かしらの要因がある時には重なる場合があります。例えば、特許切れにより新しい製品を作る時とか、流行りのものとかですね。

どのようなくじ引きをしているの?

生徒
どんなくじ引きしてるの?選挙の時みたいに『棒クジ』

たぬぬ
じゃんけんとかサイコロとか…

生徒
さすがにウソだとは思いたいケド…

たぬぬ
100%ウソではありません。これらは順番を決めるために実施されます。

まさか、国の機関が『じゃんけん』で権利を決めるわけありません。
クジを引く順番を決めるために『じゃんけん』『サイコロ』が使われます。
また、実際のクジですが、商店街の抽選でつかわれるような『ガラガラくじ』が使われます。自分の決めた色が相手より先に出れば勝ちです。

では、実際の手順を確認してみましょう。

同日申請が二人の場合
1.じゃんけんで勝負!

2.じゃんけんで勝った方が、先に『二つのサイコロ』をふる。

3.じゃんけんで負けた方が、『二つのサイコロ』をふる。
4.サイコロの目の合計の大きい人が、自分の玉の色(5色中1色)を決める。
5.サイコロの目の合計の小さい人が、自分の玉の色を決める。
6.特許庁の職員の方が「ガラガラくじ」を回す

7.自分の色が先に出たら勝ち!商標申請の権利を得ます。

生徒
順番を決める手順もなかなか複雑ですね。

たぬぬ
はい、それもこれも『公平なくじ引き』のためです。

生徒
ところで、仮に6人以上になった場合はどうするの?色は5色なんでしょ?

たぬぬ
色の数を増やします。実際にそういった例もありましたよ。

まとめ

選挙にしろ、商標登録にしろ、最後の最後はくじ引きなんですね。確かに、議論で済まそうと思っても、お互い譲りたくないでしょうから、公平と言えば公平ですね。

かなな先生
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人物イラスト提供:アイキャッチャー様

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コメント

  1. 匿名 より:

    確率的には同じなのに諸外国だったらこんな面倒な手続きはなさそう。

    • jhs-teachers より:

      諸外国がどこかわからないのですが、アメリカなどだと確率的に公平と分かっていても、どちらが先にクジを引くかで喧嘩になりそうですね。あちらは『譲ったら負け』の文化ですから。だからルールというものが決められているのだと私は思いますよ。『諸外国』を『見習って』ね。