百人一首:歌番号001~010現代語訳・品詞分類など

001:秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ

歌番号:001
作 者:天智天皇(てんじてんのう)
原 文:秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ
読み方:あきのたの かりほのいほの とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ
決まり字:3字
<品詞分類>
秋(名)の(格助)田(名)の(格助)
仮庵(名)の(格助)庵(名)の(格助)
苫(名)を(間助)あら(形(語幹)み(接尾)
わ(代)が(格助)衣手(名)は(係助)
露(名)に(格助)ぬれ(動・ラ下二・連用)つつ(接助)
<現代語訳>
秋の田んぼのほとりにある仮小屋の屋根。その屋根を覆っている苫の編み方が荒いので、私の衣の袖は露に濡れていくばかりだ。
<語句語法>
かりほ(仮庵):『仮庵(かりいほ)』を縮めた言い方。農作業のための仮小屋
苫:枯草で編んだ『こも』のこと。冬、松の木に巻くワラ製のものも『こも』という
…(を)+形容詞の語幹+み:原因や理由を表す表現。「…が…なので」という訳になる
ぬれつつ:『つつ』は反復・継続の接続助詞。「…しながら」と訳してはいけない

002:春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山

歌番号:002
作 者:持統天皇(じとうてんのう)
原 文:春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山
読み方:はるすぎて なつきにけらし しろたへの ころもほすてふ あまのかぐやま
決まり字:3字
<品詞分類>
春(名)すぎ(動・ガ上二・連用)て(接助)
夏(名)来(動・カ変・連用)に(助動・完了・連用)け(る)(助動・過去・連用)らし(助動・推量・終止)
白妙(名)の(格助)
衣(名)ほす(動・サ四・終止)てふ(連語)
天の香具山(固名)
<現代語訳>
春が過ぎて夏が来てしまったらしい。香具山に真っ白な衣が干されているのだから
<語句語法>
けらし:『けるらし』が縮まった形。
らし:根拠に基づいての推量。『白妙の~香具山』が根拠にあたる
香具山:奈良県橿原市の大和三山の一つ。天から降りてきたという伝説から「天の」とつけられている
<表現技法>
☆枕詞:白妙⇒衣
☆体言止め:天の香具山
☆二句切れ:『らし』

003:あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む

歌番号:003
作 者:柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)
原 文:あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む
読み方:あしびきの やまどりのをの しだりをの ながながしよを ひとりかもねむ
決まり字:2字
<品詞分類>
あしびき(名)の(格助)
山鳥(名)の(格助)尾(名)の(格助)
しだり尾(名)の(格助)
ながながし(形・シク・終止)夜(名)を(格助)
ひとり(名)か(係助)も(係助)寝(動・ナ下二・未然)む(助動・推量・連体)
<現代語訳>
(昼は雌雄一緒に過ごし、夜は離れて寝るという)山鳥の垂れ下がった尾が長々しいように、私も秋の長々しい夜を一人で寝ることになるのだろうか。
<語句語法>
山鳥:キジの仲間。昼は雌雄一緒に過ごすが、夜は雌雄離れて寝るとされている
しだり尾:長く垂れ下がっている尾
ながながし:『山鳥の尾』と『夜』にかかっている
<表現技法>
☆枕詞:あしびきの⇒山
☆係り結び:ひとり『か』も寝『む』

004:田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ

歌番号:004
作 者:山部赤人(やまべのあかひと)
原 文:田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ
読み方:たごのうらに うちいでてみれば しろたへの ふじのたかねに ゆきはふりつつ
決まり字:2字
<品詞分類>
田子の浦(固名)に(格助)
うち出で(動・ダ下二・連用)て(接助)みれ(動・マ上一・已然)ば(接助)
白妙(名)の(格助)
富士の(格助)高嶺(名)に(格助)
雪(名)は(格助)降り(動・ラ四・連用)つつ(接助)
<現代語訳>
田子の浦に出てみると、真っ白な富士山の高嶺に雪があとからあとから降ってきているよ
<語句語法>
田子の浦:静岡県にある海岸
うち:動詞につく接頭語。語調を整えている。
已然形+ば:確定条件。ここでは海辺に出たこと。
雪はふりつつ:『つつ』は反復・継続の接続助詞。時間の経過が表されている
<表現技法>
☆枕詞:白妙の⇒富士

005:奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき

歌番号:005
作 者:猿丸大夫(さるまるだゆう)
原 文:奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき
読み方:おくやまに もみぢふみわけ なくしかの こゑきくときぞ あきはかなしき
決まり字:2字
<品詞分類>
奥山(名)に(格助)
紅葉(名)踏みわけ(動・カ下二・連用)
鳴く(動・カ四・連体)鹿(名)の(格助)
声(名)きく(動・カ四・連体)時(名)ぞ(係助)
秋(名)は(係助)悲しき(形・シク・連体)
<現代語訳>
人里離れた奥深い山で、紅葉を踏み絵開けて鳴いているしかの声を聴くときこそ、秋は悲しいものだと強く感じられる
<語句語法>
紅葉踏みわけ:『詠み人』が踏み分けているという解釈もできる
鳴く鹿:雌鹿を求めて鳴く雄鹿のこと。古くは万葉集から歌に詠まれている切なさの象徴
<表現技法>
☆係り結び:声きく時『ぞ』 秋は『悲しき』

006:かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きをみれば 夜ぞふけにける

歌番号:006
作 者:中納言家持(ちゅうなごんやかもち)
原 文:かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きをみれば 夜ぞふけにける
読み方:かささぎの わたせるはしに おくしもの しろきをみれば よぞふけにける
決まり字:2字
<品詞分類>
かささぎ(名)の(格助)
渡せ(動・サ四・命令)る(助動・存続・連体)橋(名)に(格助)
おく(動・カ四・連体)霜(名)の(格助)
白き(形・ク・連体)を(格助)みれ(動・マ上一・已然)ば(接助)
夜(名)ぞ(係助)ふけ(動・カ下二・連用)に(助動・完了・連用)ける(助動・詠嘆・連体)
<現代語訳>
かささぎが翼を連ねて渡した橋の御段(宮中の階段)におりている霜が白いのを見ると、夜がふけていたことに気がついたよ
<語句語法>
かささぎ:天の川に翼を連ねて、織女を牽牛のもとへ渡すとされていた
ける:詠嘆の助動詞。夜が明けたことに初めて気づいたという感動を表す

007:天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも

歌番号:007
作 者:安倍仲麿(あべのなかまろ)
原 文:天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも
読み方:あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも
決まり字:3字
<品詞分類>
天の原(名)ふりさけ見れ(動・マ上二・連用)ば(接助)
春日(固名)なる(助動・存在・連体)
三笠の山(固名)に(格助)
出で(動・ダ下二・連用)し(助動・過去・連体)月(名)かも(終助)
<現代語訳>大空をふり仰いで遠くを眺めると月が出ている。今見ているこの月はかつて奈良の春日にある三笠山の上に出ていた月と同じ月なのだろうなぁ。
<語句語法>
天の原:『原』で広がっている様子を表しているので、ここでは大空
ふりさげ見れば:「ふりさげ見る」で遠くを眺めること
已然形+ば:確定条件。ここでは遠くを眺めたこと

008:わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり

歌番号:008
作 者:喜撰法師(きせんほうし)
原 文:わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり
読み方:わがいほは みやこのたつみ しかぞすむ よをうぢやまと ひとはいふなり
決まり字:3字
<品詞分類>
わ(代)が(格助)庵(名)は(係助)
都(名)の(格助)たつみ(名)
しか(副)ぞ(係助)すむ(動・マ四・連体)
世(名)を(格助)うぢ山(固名)と(格助)
人(名)は(係助)いふ(動・ハ四・終止)なり(助動・伝聞・終止)
<現代語訳>
私の庵は都の東南にあって、このように静かに暮らしている。しかし世間の人は私がこの世をつらいと思って宇治山に逃げて済んでいるのだと言っているようだ
<語句語法>
たつみ:干支の十二方位で東南にあたる
しか:「このように」という意味。後ろの「世をう(憂)」を指している
メスを呼ぶ鳴き声が物寂しいことから「鹿」と掛けていると解釈もできる。
世をうぢ山と:「う」は「宇治」「憂し」の掛詞。
-宇治山:京都府宇治市にある喜撰山。現在は一般人は見学できない喜撰山ダムがある。
-憂し:つらい、しんどい、情けない
人:ここでは世間一般の人を指す
<表現技法>
☆三句切れ:「わが庵~しかぞすむ」「世を~ひとはいふなり」の二段構成になっているため
☆掛詞:う⇒「宇治」「憂し」
☆係り結び:わが庵は 都のたつみ しか『ぞ』『すむ(連体形)』

009:花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

歌番号:009
作 者:小野小町(おののこまち)
原 文:花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに
読み方:はなのいろは うつりにけりな いたづらに わがみよにふる ながめせしまに
決まり字:3字
<品詞分類>
花(名)の(格助)色(名)は(係助)
うつり(動・ラ四・連用)に(助動・完了・連用)けり(助動・過去・終止)な(終助)
いたづらに(形動・ナリ・連用)
わが(格助)身(名)世(名)に(格助)ふる(動・ラ四・連体)
ながめせ(動・サ変・未然)し(助動・過去・連体)ま(名)に(格助)
<現代語訳>桜の花もすっかり色あせてしまいました。春の長雨を無駄に眺めている間に。私の美しさもすっかり衰えてしまった。物思いをしている間に。
<語句語法>
花の色:「花」は桜の花と女性の美しさを指している
うつり:「うつる」色あせていく様子、衰えていく様子を表す
いたづらに:無駄に、することなく。「ふる」にかかるという解釈が一般的。「うつりにけりな」にかかる解釈も面白い
<表現技法>
二句切れ:『な』
☆掛詞1:ふる⇒「経る」「降る」。「経」は歳を経る・暮らしていくという意味
☆掛詞2:ながめ⇒「眺め」「長雨」
☆倒置法

010:これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関

歌番号:010
作 者:蝉丸(せみまる)
原 文:これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関
読み方:これやこの ゆくもかへるも わかれては しるもしらぬも あふさかのせき
決まり字:2字
<品詞分類>
これ(代)や(間助)こ(代)の(格助)
行く(動・カ四・連体)も(係助)帰る(動・ラ四・連帯)も(係助)
別れ(動・ラ下二・連用)て(接助)は(係助)
知る(動・ラ四・連体)も(係助)知ら(動・ラ四・未然)ぬ(助動・打消・連体)も(係助)逢坂の関(固名)
<現代語訳>
これがあの京都から旅立つ人も京都へ帰る人も、知っている人も知らない人も、別れてはまた逢うという、逢坂の関なんだなぁ
<語句語法>
行くも帰るも:『行く』『帰る』も連体形となる。『人』が省略されている。
別れては:『ては』は動作の反復を意味する。別れと出逢いが繰り返し起こるさまを表している。
逢坂:山城国(京都)と近江国(滋賀)の境にある関所。
<表現技法>
☆掛詞:逢坂の関⇒「逢坂」と「逢う(会う)」

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