けるる「公用語が『その国で公式に使われている言語』というのは前回やりましたね」
けるる「では、今日はカナダです。ここは面白い国で公用語が二つあります」
生徒「一つは英語でしょ?」
けるる「はい、ではもう一つは?」
生徒「カナダ語?」
けるる「違います。ヒントはヨーロッパ系の言語です」
生徒「思い出した、フランス語だ!」
けるる「はい、正解。じゃあ、なんでフランス語が公用語かというと、カナダには『ケベック州』という州があります」
けるる「ここは元々『ビーバー』の毛皮を買い付けにフランス人が入植しました」
生徒「ビーバーって何?」
けるる「そこからですか…また説明しますが、水辺にすむ動物だと思ってください」
けるる「当時、1600年代ですが、ヨーロッパの上流社会の間では帽子が流行っていて、ビーバーの毛皮が使われていたんですよ。そのせいか、ヨーロッパのビーバーが絶滅寸前になってしまったんです」
生徒「よくある話だね」
けるる「絶滅を軽く言わないでくださいwで、フランス人が目を付けたのがカナダだったんです。まぁ、イギリスも目を付けて軍事衝突があり、結局フランスは撤退したんですけどね」
けるる「そんな経緯もあって、今でもカナダの人口の15%くらいはフランス系なんですよ。だから、カナダ政府もフランス語を公用語として認めました」
生徒「カナダに行ったらフランス語も使わないといけないの?」
けるる「英語だけで十分…と言いたいんですが、さっきも出た『ケベック州』。ここは『フランス語のみ公用語』となっているんです」
生徒「わかった!ケベック州にはいかない!」
けるる「まぁ、それでもいいですけどね。カナダに行くならとりあえず英語の勉強ですね」
生徒「先生はフランス語もできたよね?」
けるる「はい、前の仕事ではカナダにいましたし、大学の時もやってましたからね。でも大体の人は英語で話してましたよ」
生徒「じゃあ、なんでケベック州だけはそんなにフランス語使うの?」
けるる「それは文化の問題もあるんですよ。以前、ケベック州がカナダからの分離独立を目指したことがあるんですが…」
生徒「どうなったの?」
けるる「反対票が50.6%で超ギリギリで独立しませんでした」
けるる「『ケベック愛』とでもいうんでしょうか、ケベック州では『私はフランス人ではないし、カナダ人でもない。ケベック人だ』という人が未だに多くいる地域なんです」
生徒「そのうち独立するかもね」
けるる「それはないでしょう。カナダの最高裁で『州の連邦からの一方的な独立は違憲』という判断が下されましたからね」
生徒「この前のスペインみたい」
けるる「よく覚えてましたね。そんな感じです。地理の授業でもこのように歴史的な背景が必要になってきますので、これからもあまり地理歴史の枠にとらわれないでくださいね」
生徒「はーい」
・カナダの公用語は『英語』と『フランス語』
・ケベック州の公用語は『フランス語のみ』
・フランス人がビーバーの毛皮を求めて入植したのが始まり