歴史の授業にて
さて、問題になっているのは『令』の字。下の二つの書き方がありますね。
元々の字は、中身が『マ』になっているものです。
しかし、教科書やテキストなどでは『令』と書かれていますね。『零』も『冷』もです。
どちらが正しいかと言われると、『どちらも正しい』が正解になります。
中身が『マ』でも『令』でも正しい根拠は?
文化審議会国語分科会の『常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)』にどちらも正しいと記載されているからです。
リンク:上記報告資料
小学校などには、学習指導要領として必ず報告されています。
そこで『令』と書いても中身が『マ』でも丸を付けるよう、指導されているはずですし、教員なら当然知っているはずです。
ただ、下の資料にもある通り、印刷用の文字(明朝体)に慣れてしまっている現在、中身が『マ』の『令』は馴染みが無くなってきているのでしょう。
教育課程部会国語ワーキンググループ
「参考資料」より抜粋
Q42 「令」や「鈴」を手書きの楷書でどう書くか ある金融機関の窓口で書類に記入する際に「令」を小学校で習った形(「中身が『マ』」)で書いたら,明朝体と同じ形に書き直すように言われました。そうする必要があったのでしょうか。A 本来であれば,書き直す必要のないものです。印刷文字に見慣れてしまったため,手書きでは「中身が『マ』」と書く習慣があることが理解されにくくなっているのでしょう。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/068/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/03/31/1369048_05_2.pdf
なぜ明朝体なんてあるの?
そもそも、『明朝体』という名前はなぜついたのか?
それは『明朝体』が、中国の『明』の時代に印刷用の版木(板木)を彫刻するのに適した形で作られたからです。
当然、手書きの楷書に基づく形で作られたのですが、印刷文字として、読むことに特化されたため、独自の発展を遂げました。
つまり、彫刻しやすいように変形されていったということです。
確かに、中身を『マ』にするよりも『令』と彫る方が簡単そうですね。
どっちを使うかは自由
結論として、『どちらもでよい』ということがわかりました。
試しに、当塾にいる『鈴木君』と『玲子さん』に自分の字を書いてもらいました。
公的機関や金融機関で署名するときは、書き直しを求められることもあるでしょう。
しかし、テストではどちらを使っても構いません。
もし、『令』の字が原因で減点されたなら、ちゃんとした態度で修正をお願いするようにしてくださいね。間違っても…
なんてふざけた態度をとったらいけませんよ。
人物イラスト提供:アイキャッチャー様