中学に入ると、国語で「古文」を本格的にやり始めます。
その中で、どの教科書にもあるであろう枕草子の「春はあけぼの」。
作中に「あはれ」と「をかし」という二つの言葉が出てきます。
共に「趣がある」という意味がありますが、では二つの言葉が使われているのはなぜなのか?
二つの言葉が持つ意味を考えてみましょう。
「趣(おもむき)」とは?
そもそも「趣(おもむき)」とは何でしょうか?
辞書を調べてみると、「味わい」「面白味」「そのものが感じさせる風情」などとあります。
難しいことを考えずに、ざっくりと説明するならば、「ええなぁ」って感情です。
ツイッターなどで例を挙げるなら「いいね」かもしれませんね。
「あはれ」と「をかし」の違い
「あはれ」と「をかし」の決定的な違いは「何かを考えたか」です。
「あはれ」は、その対象を見たり感じたりして湧き出てきた感情のことです。
「をかし」は、その対象について考察・批評などをしたうえで感じる感情のこと。
極端な例を挙げてみましょう。
巨大な入道雲の写真がツイッターに投稿されたとします。
「めっちゃキレイ!」「豪快!」「すげぇ!」でいいねを押したとしたらそれが「あはれ」です。
梅雨の終わりかけ、晴れ渡った日に海の向こうに見える入道雲。
そうか、そろそろ梅雨も終わり本格的な夏が始まるんだな。
夏かぁ、今年の夏はどう過ごそう……
入道雲を見て夏が近づいてきていることを感じていいねを押したとしたらそれが「をかし」です。
このように、知的・批評的に観察して対象をとらえることで起こる「いいね」な感情が「をかし」なのです。
枕草子は「をかし」の文学
中学でも習う「枕草子」は「をかしの文学」と呼ばれています。
作者の清少納言が感じたことを書き記したものですが、そこには必ず「なぜそう思ったのか」が書かれています。
つまり、「をかし」になるのです。
清少納言の鋭い観察眼が光る一作なので、ぜひ一度は現代語訳で構いませんので一通り目を通してみてください。
人物イラスト提供:アイキャッチャー様
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「あはれ」と「をかし」の違いのとちがいます