中間テスト・期末テスト・入試。様々なテストが押し寄せてくる中、『考える力』『説明する力』の強化の名のもと、その多くに『記述問題』が課せられるようになりました。
単なる用語の記憶だけでは点数が取れなくなってきています。
その用語の意味を知り、どのように使うか、どの知識を組み合わせるか、考えることがたくさんありますね。
日常のトレーニング
当塾では『教科書』を参考にして、生徒同士で問題を出し合わせています。
そして、互いに正答数を競わせるというものです。
『問題を出す』からには『答えてもらう』必要があるわけで、少ない情報量では『答えられない』、つまり問題として成り立たない。
しかし、情報を詳しくしすぎると『簡単に答えられてしまう』。そのぎりぎりのラインを狙うのが面白いんです。
この問題を考える作業が、用語のポイントを押さえる練習、つまり記述問題の対策となってくるのです。
試しにやってみましょう
二人の生徒に協力してもらいました。
一人には『ステップ気候』もう一人には『織田信長』を題に問題を作ってもらいます。
なかなかいい出来です。雨の特徴も、丈の短い草(ステップ)が生えるということも含められています。
問題の難易度としてもお手頃、もしくはちょっと簡単かなと言ったところです。
明智光秀は何人の武将を殺したのでしょうか……まぁ、一番有名な『織田信長』と答えてくれるでしょう。
フォローすると、この問題を作ったのは中1の子です。
小学校で習う歴史では、本能寺の変くらいしかやらないでしょう。
なので、欲を言えば『本能寺』という言葉を入れてほしかったですね。
なお、中学生であるならば『楽市楽座』や『足利義昭を追放』といったキーワードが入れられるでしょう。
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実際のトレーニング方法
手持ちの一問一答集で十分です。
まずは普通に一問一答で解いて知識を付けてください。
次に『答え』から『問題』を予想してください。
例えば以下のような問題と答えがあったとしましょう。
問題:徳川家康が大名や大商人に、海外渡航の許可証を発行することで統制した貿易を何というか?
答え:朱印船貿易
ここから『朱印船貿易』が答えとなるような問題を作ります。
最初は『徳川家康』『許可証』くらいしか出てこないと思います。
朱印状という言葉を使ってしまうかもしれませんね。
そうすると問題が簡単になり過ぎちゃいますね。
ただ、それでもかまいません。自分で作った問題と元の問題を見比べることで、「朱印状は許可証と言えばいいんだ」とか、対象者(大名・大商人)や「『統制』という言葉を使おう」と思える。
この繰り返しで、重要キーワードを覚え、文章をまとめる力がついていきます。
記述問題対策
記述問題では『何を聞かれ』そして『何を答えるのか』が重要になります。
ここで、役に立つのが一問一答で得た知識です。
必要なキーワードを考えて文章にしてゆきます。
下の問題を例にしてみましょう。
問題例
キーワード:高緯度のわりに温暖・偏西風・暖流(北大西洋海流)
解答例:沿岸を流れる暖流と偏西風の影響で高緯度のわりに温暖である。(29字)
30字程度の記述ならこの答えで十分でしょう。
文字数制限が50字60字となった場合は、『追加情報』や『補足情報』を入れていくといいでしょう。
補足情報例:暖流で温められた大気を偏西風が……
暖流を正式名称の北大西洋海流としてもいいでしょうが、『温暖』というキーワードと相性がいいので、できれば『暖流』を採用したいですね。
記述問題の第一歩
このように、記述で大事なことは『絶対に外せないキーワード』をまず準備することです。
『問題→記述』と考えてしまうと難易度は高くなってしまいます。
『問題→キーワード→記述』とすることで、ハードルが低くなります。
記述問題が苦手という人は、記述は出来なくても『このキーワードは使うはずだ』というものを見つけ出して解答欄などにメモしておきましょう。
その後に答え合わせをして『キーワードは選べた』という実績を残すことが出来て自信にもつながります。
一朝一夕で身につかず、地道な知識の蓄積が必要な記述問題ですが、『キーワードの選定』という作業を加えることで、自身の成長を感じやすくなり、意欲もわいてくるでしょう。
理科などの記述問題にも応用できますので、ぜひ実践して頑張ってください!