春一番が吹いたら暖かくなってくるかと思いきや、その翌日は寒くなることが多いです(「寒の戻り」という)。
今年(2019年)も2月4日に北陸で春一番が吹いたというニュースがありました。
かと思えば「今年は春一番が吹かなかった」というニュースを聞く年もあります。
気象庁が発表する『春一番』は、どのような条件があるのか、どのような条件があるのかを紹介します。
時期としての条件
その年の『立春』から『春分』までの間とされています。
『立春』は、2月4日もしくは5日。『春分』は3月20日か21になります。
太陽の位置を基準にしているので年度によって変わります。
気象現象としての条件
関東地方を統括する『気象庁』の条件を見てみましょう。
・西南西~南~東南東より吹いてくる風
・10分間平均で風力5(風速8m/s)以上の風が吹き込む
・前日に比べて気温が上昇する
主にこの4つが、立春から春分の間までに観測されれば『春一番』と認定されます。
気象条件は満たしていても、時期が満たされていなかったので『春一番』と認定されなかったことがあります(2013年2月2日観測)。
逆に「日本海の低気圧」という条件はゆるく認定されることがあり、2006年3月6日に観測された『春一番』のとき、低気圧は北海道の北にありました。
地域としての条件
日本は南北に長いことから、気象現象としての条件を日本全土で満たすことは不可能と言ってもよいでしょう。
そのため、各地方気象台から地域レベルで発表があります。なお、北日本にあたる北海道・東北(仙台)と沖縄では発表がありません。
地域による「気象現象の条件」の違い
日本列島は南北に長いこと、各地方により気候条件が違うこともあり、地方により春一番の「気象現象の条件」が少し変わってきます。
関東の条件と各地方の条件をくらべてみましょう。関東地方と違う条件を「赤色の太字」で表現しています。
北海道・東北地方
気象台としての春一番は発表しませんが、民間では強い風のことを春一番と呼んでいるようです。
東海地方
・日本海に低気圧がある
・南寄りの風
・最大風速8m/s以上
・日最高気温が平年値を上回る
表現は違いますが関東地方と同じ条件ですね。東海地方では、東海地方の地方気象台(名古屋・岐阜・津・静岡)のうちいずれかで条件を満たされれば発表されます。
名古屋地方気象台 https://www.jma-net.go.jp/nagoya/
北陸地方
風速の条件が関東と違います。
・日本海に低気圧がある
・西南西~南~東南東より吹いてくる風
・10分間平均として、新潟・富山・金沢・福井のいずれかの気象台で風速10m/s以上、その他の気象台で風速6m/s以上の風が吹き込む
・最高気温が前日より高いかほぼ同じになること
気温の考え方は表現が違うだけで関東地方と同じです。
近畿地方
・日本海に低気圧がある
・南寄りの風
・最大風速8m/s以上
・最高気温が平年値より高い(または前日値より高い)
近畿地方も表現の違いはあれど、関東地方と同じ条件ですね。
中国地方
・南寄りの暖かく強い風(やや強い風)
・中国地方くらいの範囲で吹く
中国地方の条件はかなり「ふわっ」としています。
山陽(広島・岡山など中国山地の南側)で強い風が吹かない場合でも、山陰(島根・鳥取など中国山地の北側)で強い風が吹けば、中国地方の春一番とすることがあります。
四国地方
・日本海に低気圧がある
・南寄りの風
・概ね10m/s以上の風が吹き込む
・最高気温が前日より高くなる
風速の条件が関東より厳しいほかは、ほぼ同じです。
九州北部地方(山口県を含む)
・日本海に低気圧がある
・南寄りの風
・およそ7m/s以上の風が吹き込む
・前日より気温が高くなる
風速の条件が関東地方より緩くなっています。
九州南部・奄美地方
・日本海に低気圧がある
・南寄りの風
・8m/s以上の風が吹き込む
・気温が上昇する
表現の違いだけで、条件は関東地方と同じです。
沖縄地方
気象台として春一番は発表しません。
距離的に日本海側の低気圧の影響が小さいからだと考えられます。
まとめ
日本の南北に長い地形を考えると、地方ごとに気候が違うため、春一番の条件も微妙に変わっていました。
春一番が吹いた後は「寒の戻り」で気温が下がります。
インフルエンザや風邪が流行るこの時期、体調には十分気を付けてください。
人物イラスト提供:アイキャッチャー様