中1で初めて習う“can”。
これは助動詞と呼ばれ、動詞の働きを助けるものです。
中2に入ってからもいくつか習い、英語の苦手な人にとっては混乱のもとになります。
しかし、文法と意味をしっかり理解することで、英語の表現の幅を広げてくれますので、しっかりと定着させましょう。
助動詞の働き
助動詞は、その名の通り『動詞』を『助ける』ものです。
もう少し付け加えると、『動詞の意味を広げてくれる助けをするもの』。例えば以下の例文のように表現の幅を広げてくれます。
例1:I can play the piano.(私はピアノを弾けます)
例2:I will play the piano.(私はピアノを弾くでしょう)
例3:I must play the piano.(私はピアノを弾かなければならない)
このように助動詞を使うだけで「ピアノを弾く」という表現の幅が広がります。
助動詞の文法
助動詞の文法の基本は、『助動詞を置く場所』と『動詞の原形を使う』ことを覚えておけばさほど問題にはなりません。
基本的な形は以下の通りとなります。
否定文:主語+助動詞+not+動詞(原形)+その他.(※)
疑問文:助動詞+主語+動詞(原形)+その他?
米印(※)の説明をすると、 “can”を否定するときに”can not”は使えないのです。
“can”を否定するときは”cannot”か”can’t”を使います。
初めて習う助動詞がいきなり例外となるので混乱するかとは思いますが、”cannot”か”can’t”は一つの単語として覚えた方がよいでしょう。
以下、例文で確認します。
否定文:I cannot play the piano.(私はピアノを弾けません)
疑問文:Can you play the piano?(あなたはピアノを弾けますか?)
否定文:I will not play the piano.(私はピアノを弾かないでしょう)
疑問文:Will you play the piano?(あなたはピアノを弾くでしょうか)
さて、何かに気が付いたでしょうか?
このルール、特に否定文疑問文のルールは一般動詞のものと一緒です。
実は一般動詞で使われる”don’t””doesn’t”の“do””does”は助動詞なんです。
肯定文:主語+動詞+その他.
否定文:主語+do(does,did)+not+動詞(原形)+その他.(※)
疑問文:Do(Does,Did)+主語+動詞(原形)+その他?
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肯定文:I play the piano.(私はピアノを弾きます)
否定文:I don’t play the piano.(私はピアノを弾きません)
疑問文:Do you play the piano?(あなたはピアノを弾きますか?)
助動詞の種類
中学で習う助動詞は5種類です。それぞれのどのような意味になるのかを例文とともに確認しましょう。
助動詞”can”
「能力」を表すcan
“can”の基本的な意味は『能力』を表す「~することができる」です。
例1:I can play the piano.(私はピアノを弾けます)
例2:You can do it.(あなたならできるよ)
「許可」を表すcan
また、『許可』を表す「~してもよい」の意味があります。
相手に何かしらの行為を許可する、相手に自分の行為を許可してもらうときに使います。
例1:You can use my pen.
直訳:あなたは私のペンを使うことができます。
意訳:私のペンを使ってもいいですよ。
例2:Can I use your pen?
直訳:私はあなたのペンを使うことができるでしょうか?
意訳:ペンを使ってもいいですか?
直訳から話し手の言いたいことを考えましょう。
「依頼」を表すcan
「許可」を表すcanの動作の対象(主語)を変えることで『依頼』を表す「~してくれませんか」の意味を持つことができます。
例:Can you play the piano?
訳:ピアノを弾いてくれませんか
“Please”の丁寧な言い方として、中1でも学習しますね。
「推量・可能性」を表すcan
『可能性』や『推量』を表す「~の可能性もある」「~もありえる」という意味があります。
例:That can be true.
訳:それが本当である可能性もある。
また、否定文にすると「あり得ない」という強い否定になります。
例:That cannot be true.
訳1:それが本当である可能性はない
訳2:それが本当だなんてあり得ない
助動詞”will”
「未来」を表す
“will”の意味として一番有名なものでしょう。『単純な未来』について表現することができます。この場合、”be going to”と違い、思い付きの発言なども含まれます。
「意志」を表すwill
特に”I will”で使われ、「~するつもりだ」という『意思』を表現できます。
例:I’ll be back.
訳:帰ってくるよ。
「依頼」を表すwill
「意志」を表すwillの動作の対象(主語)を変えることで『依頼』を表す「~してくれませんか」の意味を持つことができます。相手の意思の確認なので”Can you”よりも丁寧になります。
https://jhs-teachers.com/?p=456
例:Will you open the window?
訳:窓を開けてくれませんか?
「習性」を表すwill
主語が3人称の場合、『習性』を表す「~するものだ」という意味を持つことができます。
例:Boys will be boys.(アメリカのことわざ)
訳:男の子はどこまでも男の子である。
例:He will play the piano for hours.
訳:彼は何時間もピアノを弾くことがよくある。
助動詞”must”
“must”は話し手の考えなどを強く相手に伝えるときの助動詞です。スピーチなどで自分の考えを訴える時、また否定文は命の危険がある行為などを強く禁止するときなどに使えます。
「義務」を表すmust
「~しなければならない」という『義務』を強く訴えることができます。また、”really”という言葉と相性がよく、いろいろな場面で使われます。
https://jhs-teachers.com/?p=304
例:We must save the children.
訳:子供たちを守らなければなりません。
例:I really must get up early.
訳:本当に早起きしないといけない
ノリで訳すと「マジ早起きしないと…」
「推量」を表すmust
強い『推量』の意味として「~に違いない」という意味を持ちます。これは『確信』と考えることもできます。
例:She must be beautiful.
訳:彼女は美しいに違いない
助動詞”may”
おそらく、中学生が一番戸惑い間違えやすい助動詞です。主な意味は「推量」と「許可」。”can”で代用をすることもできますが、ニュアンスが変わってきます。
「推量」を表すmay
「~かもしれない」という『推量』を表現できます。”can”よりも確信度合いは上です。しかし、それでも間違いの可能性を否定できない場合などに使われます。
例:That may be true.
訳:それは本当なのかもしれない。
「許可」を表すmay
“can”と同様、「~してもよい」という『許可』を表現できます。ただし、”may”の場合、目上の人が使うニュアンスになります。
例:You may use my pen.
訳:私のペンを使ってもいいですよ。
助動詞”should”
「義務」を表すshould
「~すべきだ」という『義務』の意味を持つことができます。ただ、”should”には「そうであってほしい」という希望的観測が含まれます。
例:You should get up early.
訳:あなたは早起きすべきです。(早起きしていない現状がある)
もし、ちゃんと毎朝早起きしているけど、特別な事情で早起きするよう伝えるときは”need to”を使います。
例:You need to get up early.
訳:あなたは明日早起きをする必要があるわよ。
「推量」を表すshould
「~なはずだ」という『推量』の意味を持つことができます。ただし、この場合は「~であってほしい」という希望的観測が含まれていますので使いどころに注意が必要です。
例:That should be true.
訳:それは正しいはずだ(正しくあってほしい)
まとめ
表現の幅を広げてくれる助動詞ですが、使いどころを間違えるとあらぬ誤解を招くことがあります。
しかし、あまりニュアンスなどを理解しようとすると、逆に英語が嫌いになってしまいます。
まずは教科書的にでも構わないので、覚えてしまいましょう。
そこから発展学習をすればよいのです。
そして、『推量』を表す助動詞が多いことに気が付かれたでしょうか。
英語では『推量』は助動詞を使って、その度合いを示します。
以下の記事で「推量」について詳しく解説していますので、参考にしてください。
人物イラスト提供:アイキャッチャー様
コメント
dontとかdoesn’tが助動詞だとは思いませんでした。
学校ではちゃんと教えてくれなかったのですが、たしかに助動詞と同じ使い方になってます。
ところで、canとおなじようにdoを助動詞として使った場合、なにか意味があるのでしょうか?
doを助動詞として使うと、「動詞の強調」が起きます。
I like cats.なら「私はネコが好き」
I do like cats.なら「私はネコが大好き」
こんな感じです。
I do want~.で「私はぜひ~したい」と強調することもできます。