授業中のやり取り
本日は社会(中3入試地理)の授業の一コマです。
疑問点の整理
発電方法にはいろいろあります。日本で代表的なのは『火力発電』『水力発電』。そのほか、『原子力発電』などもありますが、ここ近年注目されているのが『再生可能エネルギー』。自然の力を利用して発電しようという試みで、有名どころでいえば『太陽光発電』『風力発電』ではないでしょうか。
その中の一つ『地熱発電』は火山大国日本において、有効な発電方法と思われているのですが、その普及率は『0.2%』程度。なぜ、ここまで普及していないのか考えてみます。
そもそも、発電とは
火力発電・原子力発電では、発生する熱を使って水を蒸発させ、その蒸気をタービンと呼ばれる装置に通します。すると、タービン内の羽が、その水蒸気を受けて回り、その回転する力を発電機に伝えることで発電できます。
理科の授業で出てくる『手回し発電機』を蒸気の力で回していると考えてもらえればいいですね。
また、水力発電では、ダムにためた水を高低差を利用してタービンに流し込み、直接、水を使ってタービンを回しています。風力発電も風で風車を回して発電していますね。
このように、多くの発電には『タービン』が必要となり、その『タービン』を回す手段で発電の呼び名が変わるのです。
※太陽光発電は『シリコン半導体』と呼ばれるものに光が当たると電気が発生する現象を利用しています。
地熱発電の仕組み
では、地熱発電ではどのようになっているでしょうか?
『タービン』を回すことには変わりありません。
回す手段として、『蒸気』を利用しています。
地中深くに存在し、熱せられていた水(液体)は水蒸気に状態変化を起こします。ほぼ密閉された空間では、水蒸気が発生することで圧力が高くなり、液体の沸点が上昇します。そのため、200℃以上の熱水が存在します。
この200℃の熱水を汲んで地上に持ってくると、圧力が抜けます。すると、簡単に言うと100℃を超えた分の沸騰が起こり、液体の水から、気体の水蒸気に状態変化します。この反応を一気に行うと、大変危険なので『フラッシャー(減圧器)』という装置の中で安全に行う必要があります。液体の水は気体の水蒸気になると体積が約1200倍になりますので、十分に『タービン』を回すことができるのです。
なぜ普及しないのか
主な理由として、『時間』『費用』『立地』『反対運動』などがあげられます。
『調査』『開発』に時間とお金がかかる
まず、どこに熱水が溜まっているか、調査をしないといけませんね。そこで将来的に十分な量、もしくは供給される目途が立たないと発電所は作れません。発電所を作るだけでも相当なお金がかかってしまいます。
現地住民の反対運動
地熱発電所はその性質から、温泉地の近くが適しているんです。なにせ、地上にお湯が湧いてくるくらい地表近くに熱水があるんですから。となると、昔から温泉として経済活動をしてきた地元としては、温泉が枯れてしまうのでは、湯量が少なくなってしまうのではと反対したくなるのもわかります。
原子力発電所のように『なんか危険そう』という理由ではなく、『経済活動の破綻』という危機のため、反対運動が起こるようです。
地熱発電の今後
これは、『バイナリー発電』といって、上記で紹介した発電方法とは別のものです。初期コストはかかりますが国の補助金などで、自治体の負担も減ります。今後も、再生可能エネルギーの可能性を追求して、技術革新されるでしょう。日本の地熱エネルギーは世界第3位とも言われていますので今後に期待したいところです。
画像提供:アイキャッチャー